Raspberry Pi 5とActive Coolerが届きましたので、さっそく気になっていたことを実験します。
それは、Active Coolerとオフィシャルケースを組み合わせて使ったらどうなる?という実験です。
目的
オフィシャルケースに付属するヒートシンクはすごく質素です。
ヒートシンク自体も単純な作りですし、SoCに両面テープでくっついてるだけです。
(最初からちょっと曲がってるし…)
一方、Active Coolerのヒートシンクは表面積が増えるようウェーブ状に加工されています。
両面テープではなくサーマルパッドでSoC、無線チップ、PMIC(電源管理IC)の3か所に接触するようになっており、明らかにコストが掛かってます。
ただしActive Coolerを取り付けてもラズパイ5の基板はむき出しのままです。
ならば、Active Coolerを取り付けたラズパイ5をオフィシャルケースに収納すればいいんじゃないの?と考えたわけです。
でも冷えなければ意味がないので、負荷をかけて温度を測定し、比較してみます。
テスト方法
テストツール
テストツールとしてstressberryを使います。
GitHub - nschloe/stressberry: Stress tests for the Raspberry Pi
負荷掛けはこんな感じの動作をします。カッコ内の時間はデフォルト値です。
温度が安定するまで待機→無負荷で測定(150秒)→CPU100%負荷で測定(300秒)→無負荷で測定(150秒)
同時にCPU温度とCPUクロック(=サーマルスロットリングの掛かり具合)を測定してくれ、グラフ生成まで出来る便利ツールです。
テストパターン
テストパターンは以下の5つです。
①ラズパイ5単体
熱対策を何もしない状態です。
②オフィシャルケース
オフィシャルケースに格納し、付属のヒートシンクを装着、ファンを動作させます。
③Active Cooler(ケース無し)
Active Coolerを装着します。ケースはありません。
④Active Cooler in オフィシャルケース(フタ有り)
写真では中身がActive Coolerだと分かるようにフタが半開きですが、実際はきちんと閉めてテストしてます。
⑤Active Cooler in オフィシャルケース(フタ無し)
①~③は各製品自体の冷却能力確認のためのテストです。
④が本題の「Active Coolerを取り付けたラズパイ5をオフィシャルケースに収納すればいいんじゃないの?」パターンです。
⑤は、Active Cooler in オフィシャルケースの場合にケース内で熱い空気が循環してしまうのでは?という点の確認です。
結果
温度
室温22~24℃の室内で、各テストパターンを3回測定しました。
いずれも1回目は若干低めの温度が出て、2回目と3回目はほぼ一致する傾向でしたので、2回目の測定値を採用しています。
①ラズパイ5単体は最も高温になりました。(何も対策してないので当たり前ですが。)
後述しますが、サーマルスロットリングが効きまくってました。
②オフィシャルケースは意外にもよく冷えます。あんなに質素なヒートシンクなのに…
ただし、オフィシャルケースのファンはけっこう耳障りな音がします。
③Active Cooler(ケース無し)と⑤Active Cooler in オフィシャルケース(フタ無し)は同程度の冷え方で、高負荷時にオフィシャルケースより7℃高い結果でした。
オフィシャルケースと比較してファンは静かです。寝室に設置しても我慢できそうなレベル。
④Active Cooler in オフィシャルケース(フタ有り)はどう見ても熱がこもってます。
300秒のテスト時間中は温度が上昇し続けています。(グラフは載せてませんが、900秒で再テストしてもまだ上昇していました。)
熱がこもってケース内全体が75℃を超える環境になっていると思われ、とても良くないです。
残念ですが実用的ではないですね。
サーマルスロットリング
オレンジ色がCPUの動作周波数です。
①ラズパイ5単体
何も対策していないだけのことはあり、サーマルスロットリングが効きまくっています。
2400MHzに達したのは最初のほうだけで、あとは1500MHzと2200MHz前後を行ったり来たりです。
その他のテストパターンではサーマルスロットリングは起こりませんでした。
②オフィシャルケース
③Active Cooler(ケース無し)
④Active Cooler in オフィシャルケース(フタ有り)
⑤Active Cooler in オフィシャルケース(フタ無し)
結論
ファンノイズなんて気にせずに冷却重視⇒オフィシャルケース
静音性と冷却を両立したい⇒Active Cooler
ですね。
Active Coolerは開放的なケースと組み合わせて使うのが望ましく、 もしActive Cooler in オフィシャルケースにする場合はフタを開けて使いましょう。
オフィシャルケースがよく冷えたのが予想外でした。