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Synologyの1ベイNASの内蔵HDDを交換する

ちょっと時間が取れず4ヶ月も放置してしまいましたが、また記事を書いていきますよ。

うちのNAS(Synology DS118)の容量不足のため、内蔵HDDを交換したので記録を残します。

環境

  • NASの機種はSynology DS118(1ベイモデル=RAIDやミラーは組めない)
  • Hyper BackupでUSB HDDにバックアップ取得している
  • バックアップ対象は全フォルダ、全アプリ

DS118以外でもDSシリーズであれば同様に作業できると思います、たぶん。

用意したもの

内蔵HDD

NASのHDDは現在の2倍の6TBにします。
Synologyの互換性リストに記載があるHDDの中から、WD Red Plus WD60EFPXを選びました。

バックアップHDD

内蔵HDDが6TBになるので、バックアップHDDも8TBに交換します。
このHDDを外付けケースに入れたものですが、今回の作業のために買った訳ではなく、使い道がなくて余ってたやつの活用です。
NAS内蔵HDDと違ってバックアップ時に1日1回1時間程度動くだけなので、WD Redシリーズでなくても大丈夫でしょう。きっと。

作業方針

もし2ベイ以上のNASでミラーリングやRAIDを組んでいれば、1本交換して同期、1本交換して同期、を繰り返せば環境を壊さずにディスクを入れ替えられます。

しかしDS118は1ベイです。内蔵HDDが1本しかないのでこの方法はとれません。
やり方は2つ考えられます。

  1. 内蔵HDDを入れ替えてDS118をセットアップしなおした後、データをバックアップHDDから復元する。
  2. 内蔵HDDのデータを新しいHDDにクローンして差し替える。

2はうまくいけばお手軽な方法ですが自己責任ってやつです。NASからみれば突然システム領域のHDDが入れ替わるわけで、どんなトラブルが起こるか分かりません。
今回は安定稼働重視で、1でやってみます。

Hyper Backupでどの設定値をリストアできる/できないのか

Hyper Backupではデータだけでなく設定値もリストアできます。
結構多数の設定値が対象になるようです。
項目が多すぎて詳細確認できてませんが、リストア対象となる設定値を羅列します。

ユーザーとグループ
    ユーザーとアプリケーションのアクセス権
    グループとアプリケーションのアクセス権
作業グループ、ドメイン、LDAP、SSO クライアント
    ワークグループ、ドメイン、LDAP
        ワークグループ
        LDAP クライアントを有効にする
    SSO クライアント
        Synology SSOサービスを有効
            SSO Server URL
            アプリケーション ID
            ログインページのデフォルトにより SSO を選択
    OpenID Connect SSO サービスを有効にする
        プロファイル
ファイル共有とバックアップサービス
    SMB
        SMB サービスを有効化
        WINS サーバー
        最大 SMB プロトコル
        最低 SMB プロトコル
        転送暗号化モード
        サーバーの署名を有効にする
        Opportunistic Locking を有効にする
        Local Master Browser を有効にする
        転送ログを有効にする
            作成
            削除
            読み取り
            書き込み
            名前の変更
            移動
            アクセス許可の変更
        DirSort VFS モジュールを有効にする
        ファイルを拒否
        拒否条件
        拒否ファイルをを含むディレクトリを削除することを許可
        共有フォルダ内のシンボルリンクを許可する
        共有フォルダに亘るシンボルリンクを許可する
        集約ポータル
        ポータル設定
        同一 IP アドレスからの複数接続を無効にする
        デバッグログを収集
        デフォルトの UNIX 許可を適用
        ファイルを作成するとき、ディスクスペースを予約しません
        ワイルドカード検索キャッシュを有効にする
        SMB Durable Handle を有効化 (クロスプロトコルファイルロックが無効化されます:
        SMB2 リースを有効化
        Mac 特殊文字を変換するために VFS モジュールを有効化する
        AFP でクロスプロトコル ロックを有効にする
        許可なくユーザーに共有フォルダを表示しない
        NTLMv1 認証を有効化
        非同期読み取りを有効にする
        ディレクトリ内のすべてのサブフォルダ上の変更をモニター
        SMB クライアント リクエストで直ちにデータをドライブに同期させる
        パフォーマンス分析を有効化する
        Windows ネットワーク探索を有効化して、SMB 経由のファイル アクセスを許可します
    AFP
        AFP サービスを有効化
        転送ログを有効にする
        デフォルトの UNIX 許可を適用
        接続を解除した後、すぐにリソースを解放してください
    NFS
        NFS サービスを有効化
        NFSv4 サービスを有効化
        NFSv4 ドメイン
        デフォルトの UNIX 許可を適用
        カスタマイズしたポート
        statd ポート
        nlockmgr ポート
        読み取りパケットサイズ
        書き込みパケットサイズ
        プリンシパル
    FTP
        FTP サービスを有効にする
        FTP SSL/TLS 暗号化サービスを有効にする (FTPS)
        SFTP サービスを有効にする
    ファイルサービスの詳細設定
        Windows ネットワーク探索を有効化して、ウェブブラウザ経由のアクセスを許可し
        Bonjour サービスを有効にして、DiskStation を検索する
        Bonjour プリンタのブロードキャストを有効にする
        AFP からの Bonjour Time Machine ブロードキャストを有効化する
        SMB からの Bonjour Time Machine ブロードキャストを有効化する
        バイパス横断チェック:無効
    Rsync サービス
        rsync サービスを有効にする
        SSH 暗号化ポート
        サーバーは現在ペアリングされていません
    共有フォルダの同期
ネットワーク関連の設定
    全般
    ネットワークインターフェース
    トラフィックコントロール
    スタティックルート
    ファイアウォール
    サービス拒否 (DoS) 保護
その他のサービス
    ユーザーホーム
        ユーザーホームサービスを有効にする
        ボリューム
        ドメインユーザーのホームサービスを有効にする
        LDAP ユーザー向けにホームサービスを有効にする
        ごみ箱を有効にする
    パスワード設定
        管理者以外のユーザーに忘れたパスワードを電子メールでリセットさせる
        管理者がユーザーパスワードをリセットした後で、パスワード変更を強制します:
        ユーザー名および説明文はパスワードに使用しない
        大文字と小文字の混在を含む
        数字を含む
        特殊文字を含む
        脆弱なパスワードを排除
        最小パスワード長
        パスワード履歴 (回数)
    パスワードの有効期限
        パスワードの有効期限を有効にする
    SNMP
        SNMP サービスを有効にする
    タスクスケジューラー
    地域オプション
    DSM の更新
    設定のバックアップ
    システムリセット
    通知
        電子メール通知を有効にする
        モバイルデバイス通知を有効にする
        SMS通知を有効にする
    セキュリティ
    TLS / SSL プロファイルレベル
    自動ブロック
        自動ブロックを有効にする
        ログイン試行回数
        分以内
    アカウント保護
        アカウント保護を有効化
    DSM 設定
        HSTS を有効にする
    セキュリティ - 詳細設定
        HTTP 圧縮
    接続性
        HTTP/2 を有効にする
        カスタム「Server」 ヘッダー 
        再利用ポートを有効にして、Web サービスの高い同時接続機能を強化する 
    外部アクセス - 詳細設定
        ホスト名または静的 IP
        HTTP
        HTTPS
    リバースプロキシ
    アクセスコントロールプロファイル
    ログインスタイル
    端末
        Telnetサービスを有効にする。
        SSHサービスを有効にする。
    QuickConnect
    DDNS
    ルーターの設定
        ポート転送ルール
    サービスにインデックスを付けています
        インデックス付きフォルダ
        サムネイルの品質
        スケジュール別の変換を有効化

実際やってみる

HDDの入れ替え

ダウンロードセンターの「製品マニュアル」に従って、HDDを新しいものに入れ替えます。
その後、DSM(NASのOS)を新規インストールします。

DSMの初期設定

ダウンロードセンターの「DSM 7.2向けのSynology NASユーザーガイド」に従って初期設定をおこないます。
最初に設定する管理者アカウントは、記憶にあるアカウント名が使用できず別のものを設定しました。
(元の環境はDMS6系で初期設定後にDSM7にアップグレードしたもの、今回は最初からDSM7という違いがあるのでそのせいか、はたまた単に記憶違いか。。。)

Synology IDは既存のものでログインし、QuickConnectや二要素認証の設定などスキップ可能なものはいったんスキップしました。

バックアップHDDからリストア

リストアするのにHyper Backupが必要なので、パッケージセンターからHyper Backupをインストールします。
バックアップHDDはexFAT形式でフォーマットしていたので、exFAT Accessパッケージもインストールします。

バックアップHDDをUSB接続します。自動的にマウントされます。

Hyper Backupを開きます。
バックアップウィザードが自動的に開くのでキャンセルし、復元ボタンをクリックします。

フォルダとパッケージ→既存のレポジトリから復元→ローカルの共有フォルダまたはUSB の順に選択していきます。



バックアップデータが入っているフォルダ名とディレクトリ名を指定します。

設定も戻したいので、システム設定を復元する を選択します。

確認ダイアログが出ます。確認して「はい」を選択します。

データの復元対象ディレクトリを選択します。(今回は全部選択)

アプリケーションの復元対象を選択します。(全部選択)

(VideoStationだけすでに失敗のメッセージが表示されていました。)

確認ダイアログが出ます。確認して「はい」を選択します。

サマリが表示されます。完了をクリックすると復元が始まります。

1回目は開始3分ほどで失敗しました。
ネットワーク設定が復元されNASのIPアドレスが変わったタイミングで失敗したっぽいですが、ログを見ても原因はよく分かりませんでした。

上書きでもう一度リストアを実行しても問題ないので、同じ手順で実行したところ成功しました。

リストアで復元されなかったもの

確認できた範囲では以下のとおりです。(気付いたら追記していきます。)

QuickConnect IDの値は復元されていたもののQuickConnect機能は無効化された状態でした。
コントロールパネルからQuickConnect機能を有効化したところ、問題なく接続できました。
QuickConnect IDを使って接続するSynology Photos(スマホアプリ)なども正常に動作しました。

2要素認証の設定は復元されませんでした。

時間は結構かかる

リストアは13時間かかった

2.6TBくらいのデータを復元するのに約13時間かかりました。

初回バックアップは72時間かかった

新しいバックアップHDDに交換して初回バックアップしたところ、2.6TBくらいのデータのバックアップするのに72時間かかりました。
次回以降は差分バックアップなのでこんなに長時間かかることはありません。